日々FXで取引を行っていると、政府の動きや経済・金融関連のニュースなどに敏感になってくるのではないでしょうか。
しかし、敏感になっていても、その内容をしっかりと理解できないのであれば、残念ながら投資判断材料としては使いこなすことはできません。
そこで、今回は日銀金融政策決定会合についてみていきましょう。
日銀金融政策決定会合は、年に数回行われるだけでなく、金融市場への調整方針や金融政策の手段などに影響を与えるもので、通貨の動きに連動しやすいです。
今後のFX取引に活用するために参考にしてみようね
日銀金融政策決定会合とはなにか
まずは、日銀金融政策決定会合の大枠についてみていきましょう。この大枠をしっかりとつかむことで、この会合を投資予想に活用できるようになります。
目的
金融政策決定会合は、日本銀行にて行われ、その目的は物価の安定のための金融政策の方針を決めることです。
基本的に、資本主義の世界において物価の安定は至上命題といえるでしょう。
例えば、今日100円だったパンが、明日には110円、明後日には120円といったような急激な価格変動を起こしたとしたらどうでしょうか。安心して日々の生活を送ることが出来なくなりますね。
そのため、この金融政策決定会合は、国民の生活を守る重要な会合のひとつになります。
開催日時
日銀金融政策決定会合は年に8回行われます。
2018年の金融政策決定会合開催日
- 1月22日・23日
- 3月8日・9日
- 4月26日・27日
- 6月14日・15日
- 7月30日・31日
- 9月18日・19日
- 10月30日・31日
- 12月19日・20日
また、1月・4月・7月・10月には「経済・物価情勢の展望」を発表しており、3月・6月・9月・12月の会合は中間報告的な性格を持っています。
各資料は、開催されて以降順次といった形でWeb上でも公開されてきますが、少し時間が経ってからなので、予想をしたり現状を確認したりするには少々タイミングがずれてしまいます。
そのため、日経など新聞の一次情報で確認するのがおすすめです。また、最近では日経のHPなどで、日銀金融政策決定会合終了後の記者会見の模様がリアルタイム配信されているので、確認してみてください。
構成メンバーについて
日銀金融政策決定会合は、9名で構成されています。
見出し
- 総裁(1名)
- 副総裁(2名)
- 審議委員会(6名)
という内訳です。
2018年10月段階では、総裁は財務省出身の黒田東彦、副総裁は日本銀行から内部昇格である雨宮正佳と、早稲田大学の教授職を持つ若田部昌澄といった具合に、理論家と実務家のバランスがいい配置になっているといえるでしょう。
詳しくは、日本銀行のHPをご覧ください。
日銀金融政策決定会合とFXの関係とは
それでは、日銀金融政策決定会合とFXの値動きがどのように変化するのかを見ていきましょう。重要なのはタイミングと決断です。
そもそも関係があるのか
日銀金融政策決定会合とFXについては、関係性が深いといえるでしょう。特に日銀金融政策決定会合では、政策金利の調整について話し合われることがあります。このときはかなり注目しておきましょう。
一般的に、利上げが行われた場合は通貨高の要因となり、一方で利下げが行われた場合は通貨安の要因となります。これは、内外の金利差の問題です。
当然、利上げが行われた場合、金利差は拡大します。また、お金を持っている方から考えると、金利は少ないよりも多い方が良いですよね。
そのため、利上げが行われた場合はそのお金を欲しいと考える人が増えるため、結果的に貨幣の需要を高めることができるといわれています。
こうした金利の上げ下げを政策金利の調整といいますが、政策金利が話し合われても金利が変わらず据え置きとなる場合もあります。
この場合には、必ず「どうして政策金利が据え置きとされたか」という理由が発表されます。この理由についても投資判断材料として利用することができるのです。
この理由が、市場関係者にとって適切であると見られた場合、価格は上昇し、適切でないと見られた場合は価格が下がります。こうした判断の難しいのは、どの発表でも、下がる要因にも上がる要因にもなるということです。
ひとつの情報だけで簡単に判断せずに、日経などからも情報を仕入れながら、何を信じてどの情報にプライオリティを置くのか、自分の中で順位付けしておくといいでしょう。
過去の相場の動きを確認
政策金利の調整や理由などから、十分に投資判断が出来るといいました。ここでは過去の値動きについてみていきましょう。
ドル円に注目
やはり、日銀金融政策決定会合による動きで気になるのは、最も関係の深い通貨であるドル円です。
例えば、2013年4月に行われた日銀金融政策決定会合では、総裁が黒田氏となってからの初会合で、市場の想定以上の強気の政策が発表されたこともあり、大幅続伸となりました。
のちに、「黒田砲」とも呼ばれるような力強い政策は、日本経済の低迷を打破する起爆剤として大いに期待を膨らませる効果があったのです。
一方で、最近行われた2018年7月の会合では、長期金利の上昇が発表されたものの、日銀が指値オペレーションを控えたことなどから、市場では長期金利上昇のインパクトは小さいと判断され、小幅な値動きに収まりました。
このようにドル円の動きは、かなり複雑な判断や動きがされているといえます。
また現在、アメリカのトランプ政権は力強い国内経済の復活と共に、ドル高政策を続けており、日銀金融政策決定会合の決定がトランプ政権の動きに吹き飛ばされてしまうという環境が出来上がっていることも、頭の痛いところです。
その他の貨幣も動くのか
現環境において、ドル円は日銀金融政策決定会合によって影響を受けづらいことは確かです。それではほかの通貨ペアはどうなのでしょうか。まず注目したいのは、ユーロ円です。
日銀金融政策決定会合とユーロ円の関係については、あまり影響がないというのが市場関係者の受け止め方といえるでしょう。ユーロは、様々な国家が参入している関係で、一か国の金融政策が、大きな影響を与えるとは考えられていません。
一方で、ポンド円はどうでしょうか。ここには影響があるといわれています。
なぜなら、イギリス自体が金融で成り立っているような国であり、主要各国の金融政策は判断材料として活用できるためです。日銀金融政策決定会合の結果を基に、ドル円だけではなくポンド円にもぜひ意識を向けてみてください。
気を付けておきたいこと
日銀金融政策決定会合だけでなく、あらゆる経済指標に言えることですが、発表の内容が良かったからといって、そのまま為替に影響するわけではないということです。
投資の格言として「噂で買って、事実で売る」という言葉があるように、市場関係者は発表の内容を先読みしていることがあります。
つまり、日銀金融政策決定会合前の市場環境から、日銀金融政策決定会合の発表が予想できる場合には、予め市場が織り込んでしまっていることがあるのです。
先述した2018年7月の日銀金融政策決定会合後の値動きは、まさにこの結果であったともいえるでしょう。
一方で、市場予想を超える結果や指標が出てくれば、トレンド自体が大きく変更される場合もあります。「市場が動くのは期待」ということを、ぜひ頭に入れておいてください。
日銀金融政策決定会合に関連する他の指標はあるか
多くの重要な指標については、市場関係者は織り込み済みで動くこともあることもわかっています。
果たして、日銀金融政策決定会合に影響を与える指標とは何があるのでしょうか。さまざまな指標が考えられますが、ここでは大きく2つ紹介しておきましょう。
まずは、アメリカ関連の指標で雇用統計があります。アメリカは内需外需ともに強力な国であり、現在は特に内需に力を入れた国家運営となっています。
そのため、雇用統計がそのまま実経済に大きな影響を与えていると考えられます。なので日銀金融政策決定会合の決定は、雇用統計からくるドル円のドル政策が大きな影響を与えているといえます。
もう1つの関係を考えさせられる指標としては、ECB(欧州中央銀行)政策金利発表でしょう。
日銀金融政策決定会合とユーロ円はあまり関係がないといわれていますが、それでも、ユーロそのものの政策を決定するECBの政策金利発表はとても重要です。ぜひ併せて確認してみてください。
次の日銀金融政策決定会合に向けて仕込んでおくこと
それでは、2018年の10月や12月の日銀金融政策決定会合に向けて注目しておかなければならない指標はどういったものなのでしょうか。
次回発表時には市況はどう動くか
まず大前提として、日本においては2019年10月に消費税が10%になるという政策決定を受けて、市場全体がどう動くのかがキーポイントになっています。
消費税の引き上げは、基本的に消費減という経済的には大きなマイナスを与える政策となりますので、日銀としては、現在の金融緩和を今後も続けていくことが予想されるでしょう。
まずは、SMBCのレポートを見てください。生産自体の低迷と消費税の増税という観点から、金利は上がらず、大きな動きはあまりないのではないかというのが市場関係者の見方といえるでしょう。
また、野村證券の国際金融為替マンスリーやニッセイ基礎研究所のレポートなども参考になります。
他の専門記事も確認しよう
インターネットを利用して情報を確認していくと、多くの情報が手に入りますが、あまりにも多すぎてどの情報を採用したらいいのか分からないといったことになりかねません。そこで、ぜひ注目してほしい情報をいくつかピックアップします。
まず、やはり一次情報に当たっていくのは必須となります。そこで、日本銀行や日経新聞の公式HPは欠かせません。また、大きな投資信託会社のレポートなども参考になるでしょう。情報収集や勉強という点でも価値が大きいレポートです。
何を情報の源泉としているのかはっきりしている情報や専門記事は非常に重要といえます。東洋経済ONLINEの「マーケット」部門が参考になります。
ロイター(REUTERS)では、日銀関連ニュースとして、日銀金融政策決定会合の後に、そのまとめや狙いといった形でニュースを配信します。
2018年9月の日銀金融政策決定会合関連としては、「日銀、金融政策の据え置き決定 長期金利の変動容認も維持」。「黒田日銀総裁「緩和の永続望まず」、物価達成後に政策正常化へ」では、今後に繋がる黒田総裁の重要な発言を取り上げています。
日本経済新聞(日経)では、日本の経済に非常に大きな影響を与えるものとして、日銀特集「日銀ウォッチ」という記事が毎週1本上がっています。
9月の日銀金融政策決定会合についての記事はまだありませんが、「国債購入、サプライズ減額の真意は」という記事で、21日に日銀が実施した国際オペの与える影響について説明していました。
日経の記事は、基本的に会員登録してログインしなければ読めないという点に注意してください。
他にも、ウォールストリートジャーナル日本版の「金融政策ウォッチ」は、9月の日銀金融政策決定会合に対する記事は無いものの、アメリカの中央銀行であるFRBや公開市場委員会(FOMC)という為替や経済に大きな影響を与える期間の動きなどをまとめています。
こうした情報もぜひ参考にしてみてください。
まとめ
日銀金融政策決定会合は、日本の景気や金融政策を左右する非常に重要なものであり、FXを行っている人以外にも、大きな影響を与える会合といえます。
それは、多くの人の生活に影響を与えるためです。
日銀金融政策決定会合は、年に8回も行われ、国内外のニュースを含め、為替や株式市場、経済状況などに大きな影響を与えます。
こうした動きをしっかりとつかむことによって、より深い投資判断ができるようになることは間違いありません。
ぜひ、日銀金融政策決定会合の結果やその動きから、相場や取引の材料を探し出し、自分にとって有利な取引を進めていきましょう。
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