FXについて調べていると、「成行注文」というワードにぶつかることがあります。
成行注文ってどういうこと?ここで少し詳しく見ていきたいと思います。
確実に売買が決まる!成行注文
成行注文とは
「成行」と書いて、「なりゆき」と読みます。
成行注文とは、簡単に言えば「注文した時点の値段で売買する」注文方法です。
その名の通り「なりゆき」で売買するので、株の場合における成行注文では「安くても高くてもいいから売買したい」というときに使われますが、FXにおいては「今この瞬間の値段ですぐに売買する」という意味に。
「金額の高い安いは問わない」というのと「今の値段がいい」という違いがポイントですね。
そのスピード感から、FX会社によっては「クイックトレード」「リアルタイム注文」「スピード注文」など名称が異なります。
例えば、売値が1ドル=99円、買値が1ドル=100円、という表記になっていた場合。
売りたいときは99円で、買いたいときは100円で、その場で取引が成立するということです。こちらでレートを指定する手間が省けるのも便利ですね。
できない必見!成行注文の使いどき
成行注文は、どんな時に使うのが効果的なのでしょうか。
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今すぐ売買したいとき
成行注文は、スピード注文などと呼ばれるように、すぐに売買が成立するのが大きな特徴です。
今すぐ損切りしないと今後もっと大変になる!というときや、売買シグナルに気づいてすぐにでも売りたい・買いたい、と思ったとき、時間がなくてレートを指定する手間を省きたい、というときには有効ですね。
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必ず売買を成立させたいとき
成行注文は注文したその瞬間に売買が決まるので、売買が成立しない、ということがありません。確実に売買を成立させたいときには、成行注文を使うのがベストです。
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値動きがゆるやかなとき
成行注文の特徴であるその場のレートで売買が決まるという点は、値動きがゆるやかなときにこそ有効です。
多少のレートの変動があっても影響のない、値動きがゆるやかなときに、レートの動きを確認しながら注文すると良いでしょう。
成行注文はここに注意!
一見、便利に思える成行注文ですが、当然ながら多少のリスクもあります。
それは…飛びつき注意!ということ。
前述したように、成行注文は値動きがゆるやかなときにおこなうのがベストです。
レートを指定する手間が省けるのは利点ではありますが、確定時のレートが見えないというデメリットでもあります。
もし、値動きをよく見ずに、その場の値段で「ここだ!」と注文してしまうと…値動きが激しいと自分の予想した値段とまったく違う値段で取引することになってしまう可能性もあります。
そうでなくとも、注文してからFX会社に注文が届き、実際に値段が確定するまでは0.1秒のタイムラグが発生します。そこでレートが変わることもしばしば。
上記の例で、1ドル=100円50銭-101円55銭というレート表示のときに、成行注文で買い注文を発注したら、約定レートが「101円54銭」という結果であれば良いでしょう。ですが、いざ約定してみたら「101円56銭」では納得がいかないかもしれません。
この、注文した時の為替レートと約定した後の為替レートに差が出てしまうことを、スリッページといいます。
事前に変動幅を広くとっておくことで大きく損をすることは防げますが、FX業者によってもスリッページのタイムラグが異なっていたりします。
成行注文をつかう場合は、多少の値動きがあることは覚悟する必要があります。
FX 成り行き注文以外に重要な注文方法
指値注文
「指値注文」は自分の希望する値段で売買したいときにつかう注文方法です。
成行注文のように目の前で自分の希望する値段になっていれば良いですが、なかなか自分の思い通りにならないのが世の常というものです。
自分の望む値段になるまで根気よく待つ必要もあるでしょう。
とはいえ、まさか食事もとらず睡眠もとらず、会社にも行かずに一日中FXで市場の動きを見張っているわけにはいきません。
ではどうしたら自分の指定の値段で売買することができるのか?そんな時に便利なのが「指値注文」というわけです。
現在のレートが1ドル=100円のとき、1ドル=99円で買いたいという注文を出しておけば、実際に1ドル=99円になったときに売買が成立します。
値動きの激しいときには、成行注文より低いリスクで自分の希望価格で取引できますが、一方で自分の希望の価格にならないと取引が成立しないというデメリットもあります。
指値注文するときには、自分の希望するレートから近いレートのときに注文するのが上手な使い方です。
注意点としては、買値注文をつけるときは現在の値段よりも安く、売値注文をつけるときは現在の値段よりも高く指定する必要があるということです。
そんなの、当たり前だと思いますか?実は、逆に買値を高く、売値を安く指定する注文方法もあるのです。
それが、次に紹介する「逆指値注文」です。
逆指値注文
その名のとおり、指値注文の逆を指定する注文方法が「逆指値注文」。
「今の価格より高くなったら買う」「今の価格より安くなったら売る」という注文を出すことです。指値注文の「リミット」に対し、逆指値注文は「ストップ」と呼ばれます。
普通に考えれば、高いときに売って安いときに買った方が儲かる気がしますよね?なぜわざわざ逆の指定をするのでしょうか。
これが実は、指値注文よりも効果的な方法だったりします。その理由は主に3つ。
トレンドに乗る
市場の動きは一概にどれが正しいとは言えませんが、為替相場は一度上に動いたら上昇、下に動いたら下降、というように、一方方向に乗る傾向にあります。
例えばずっと長い間1ドル=101円前後であまり変化のない値動きが続いているとき、どこかで上昇するかも!と期待をして少し高めの1ドル=102円のレートを設定。
そこが当たれば上昇トレンドに入っていることを知ることができる、というのが逆指値注文の特色。
つまり、現時点より高い価格で買って、更に高い地点で指値で売りたいというときに、使われる注文方法です。
現在より高いレートを設定する、と言っても、この場合はほんの少し高くするだけでいいのです。そうすれば、もし下降トレンドに入ったとしても損失を少なくすることができます。
損失を抑える
逆指値注文には、損失を最小限に抑える狙いもあります。
例えば100円の買値で買ったとき、そのまま上がれば良いですが、もしも急激に下がったりしたときに出る損失を可能な限り抑えたいですよね。24時間市場を見張っていられれば良いですが、現実的には物理的にも精神的にも厳しいです。
そこで、逆指値注文をしておけば、その値段に下がったときに取引が成立するので、下がったタイミングで売買ができなくても狙った金額で損失を最小限に抑えることができるというわけです。
利益を前もって確定する
上記の理由から、逆指値注文は成行注文や指値注文と比べて、利益を得やすい方法といえます。
なので、あらかじめ利益を確定しておきたい、というときに使うのも効果的です。
あらかじめ値段を指定しておけば、市場が自分の思い通りに動いたときには間違いなく利益を得ることができます。
IFD注文
「if done」の略で、「イフダン注文」とも読みます。
その名の通り、「もしそうなったら売買したい」という注文をあらかじめ出すことのできる方法です。逆指値注文と指値注文を組み合わせて行うことができます。
IFD注文は以下のような状況の時に向いている注文方法と言えるでしょう。
2つの注文を同時に出したいときに
例えば市場が1ドル=100円で上昇トレンドにのっているとき、
1ドル=101円になったら買いたい(逆指値)。もし1ドル=101円で買えたら、1ドル=102円で売って利益を確定させたい(指値)
というように、買うタイミングと売るタイミングを同時に注文を出せるのがIFD注文です。
もちろん、上記は自分の予想通りに市場が動いた場合に、利益が確定するパターンです。自分の予想通りに市場が動かないことがほとんどですが、そんなときもIFD注文をしておけば、損失を最小限に抑えることができます。
画面を見張る余裕がないときに
FXはずっとその動きを見守っているわけにはいきませんが、ある程度こまめに動きを見ておけば成行注文や指値注文、逆指値注文で都度対応できます。
しかしながら社会人、どうしても動きを追い続けるのが厳しいときもあります。そんなときにもIFD注文がおすすめです。
たとえば1ドル=100円の市場が上昇トレンドにあり、「もし1ドル=101円になったら買いたい」「もし1ドル=101円で買えたら1ドル=102円で売りたい」という注文に続き、さらに「また1ドル=100円になったら買いたい」という注文をすることもできます。
注意しておきたいこと
注意点としては、一度に2つの注文はできるのですが、決済は一度きりという点があります。
1つ目の注文が決済されると2つ目の注文が発動しますが、値動きの予想がずれた時の対応としても決済は手動でしなければならない点です。
手動での決済は間違えてしまうこともあるので注意は必要ですが、初心者の方には却ってIFD注文がおすすめです。損失を最大限抑えられるIFD注文をおこなって、利益が確定する瞬間だけは手動で決済するようにすると良いでしょう。
OCO注文
「One Cancel the Order」の頭文字をとってOCO。2つ同時に注文を出せるという点ではIFD注文と同じですが、少しだけ用途が異なります。
OCOは、一度に2つの注文ができますが、どちらかの注文が約定したらもう片方はキャンセルになる、という注文方法なのです。
今よりレートが高くなったらこっち、低くなったらそっち、というように、場合によって使い分けることが可能となります。
また、IFD注文ではその性質上、指値注文と逆指値注文を組み合わせるのが効果的ですが、OCOはキャンセルが可能となるため逆指値でも指値でも注文ができます。
どっちに動いてもおトク
たとえば現在のレートが1ドル=100円で、高く動くと予想。
1ドル=102円になったら買うという逆指値注文をして、1ドル=105円になったら売るという指値注文をして一定の利益を確保します。
OCOの便利なところは、そこでさらに損失を制限するために1ドル=101円になったら売る、という指値注文が可能となっているところ。
また、すでにレートを確保していて上昇中、もっと上を狙いたいけれど急落して大損するのが怖い…
そんなときも、OCOで上がったときの指値注文と下がったときの逆指値注文をしておけば、大きな損失を防ぐことができる上にそれまでの利益もしっかり確保。
どっちに転んでも大きな損失にはならない注文方法なのです。
OCOはここに注意!
OCO注文は大きな損失を防げる反面、利益が少なくなる可能性もあります。
また、使いどころや価格設定を誤ると市場の動きに対応できない可能性もあるので注意が必要です。
たとえば1ドル=100円のときに買ったポジションを、上がったら1ドル=102円の買い、下がったら1ドル=101円の売りとしたときに、1ドル=101円以下に下がってから1ドル=102円に上がったとします。
このときポジションは1ドル=101円で売れてしまう上に1ドル=102円の買いの注文は取り消されてしまうので、得られるはずだった利益が得られなくなることになるのです。
IFO注文
さらに複雑な注文方法になりますが、IFD注文とOCO注文を合わせたIFDOCO注文という方法があります。
またの名をIFO注文とも言います。
IFD、OCOどちらも同時に2つの注文を出せることは覚えているでしょうか。
IFDでは決済が一度きり、OCOでは片方の注文が決まったらもう片方の注文はキャンセルになる、ということでした。
IFO注文では、実際にレートが決まるまでの流れがIFD、そこから先の決済はOCOと同じ仕組みになっています。
つまりは最初に同時に2つの注文ができ、一定の利益を確保できる値段と損失を抑える値段の両方の注文をとっておくことができ、さらにどちらかに決まった後も自動で決済してくれるという、両者の良いところだけを抜粋した注文方法なのです。
売りから買いまで
IFO注文の最大の利点は、2つの注文方法を組み合わせることによって、売りから買いまでの流れをすべて自動でおこなえるということです。
なかなか為替レートの動きを把握できない方や、画面の前に張り付くことができない人にはおすすめですね。
また、初心者の方や普段あまり利益を出していない人がきちんと利益を出したいと思ったときには大いに役に立ちます。
成行注文のまとめ
それでは、今回ご紹介したFXの注文方法を、簡単にまとめてみます。
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成行注文
多少の値動きのリスクは負ってでも、すぐにでも売買したい、という方に。
リスクはある分、必ず売買は成立します。 -
指値注文
自分の希望する値段を指定することができます。 -
逆指値注文
自分の確保したい金額を、市場では安く買って高値で売ることでリスクを軽減し、トレンドを知ることができます。 -
IFD注文
希望のレートを2つ同時に注文できます。 -
OCO注文
IFD同様希望のレートを2つ出すことができ、片方の注文が決まったらもう片方はキャンセルとなります。 -
IFO注文
IFDとOCOの利点を合わせた方法。売りから買いまですべて市場変動のタイミングにあわせて行われています。
初めての方は、まずはIFDやIFDOCOから始めてみるのがおすすめです。
慣れてきたら、成行注文もうまく活用しながら利益を得ましょう。