この記事で解決できる悩み
- FXのレバレッジ規制の背景が知りたい
- 将来的に規制は強化されるの?
- もし規制されたら取引や損益にどう影響するの?
といった悩みを解決できる記事になっています。
この記事で解説する「FXのレバレッジの規制の背景」を理解すれば、FX初心者でも規制によってFX取引にどう影響するのかが判ります。
なぜなら、私もこの方法で万が一規制が強化された時にどう対応すればいいのか知りたいという悩みを解決できたからです。
それでは、以下で「FXのレバレッジ規制の背景」について紹介します。
レバレッジ規制とは?
ポイント
2019年6月現在、日本国内の個人のFX口座では最大25倍までのレバレッジが認められています。
レバレッジ規制の理由
レバレッジ規制が敷かれた理由は、トレーダーが大きな損失を出すのを抑制するためです。
最大レバレッジを高くするほど、少額でもFXができるので、FXを始めるハードルが下がり、取引参加者が増えます。
その一方で、リーマンショックのような大暴落がおこると、大きな損失を出して、最悪の場合自己破産するリスクがあります。
FXの過去の規制の流れ
それでは、FXのレバレッジ規制はどのような経緯をたどってきたのでしょうか。
レバレッジ規制の導入当初は100倍でしたが、経済状況の変化や有識者の意見も踏まえて50倍に下がり、2011年には25倍まで規制が強化されました。
このようにレバレッジ規制は時代の流れとともに少しずつ強化され、現在は25倍が維持されています。
レバレッジ10倍の規制の見送り
2018年の春に、レバレッジをなんと10倍までに規制するという議論が出ました。
結果的には、現状FX会社に一任状態となっているストレステスト(相場の暴落などか起きた時の耐性を確かめること)を厳しくするなどと引き換えに、規制強化は見送られました。
しかし、将来的に再び同じ議論が持ち上がる可能性は十分にあります。
新たな規制強化の3つの理由
規制強化の理由
- FX会社の信用リスクの軽減
- 国際的にみてFXレバレッジは高い
- 日本の財政危機問題の再燃
理由1:FX会社の信用リスクの軽減
1つ目の理由は、FX会社の信用リスク(倒産リスク)の軽減です。
アメリカの中央銀行が市場に介入することを中止したため、為替相場のボラティリティー(変動率)が上昇しました。
そのため、高いレバレッジを許したままだと、ハイレバレッジで取引するトレーダーが多くなるため、FX会社が資金不足で倒産するリスクが上がったのです。
理由2:国際的にみてFXレバレッジは高い
2つ目の理由は、国際的にみてFXのレバレッジが高かったことです。
ご存知かもしれませんが、株式投資の信用取引でさえレバレッジは3.3倍です。
その約8倍にものぼる25倍は高すぎると金融庁が判断したといえます。
たしかに海外には数百倍のレバレッジが使えるFX会社もあり、ゼロカットシステムがあるとはいえ、かなりハイリスクなので使わないようにしましょう。
理由3:日本の財政危機問題の再燃
3つ目の理由は、日本の財政危機問題が再燃したことです。
日本の競馬や競輪、競艇などの公営ギャンブルの売り上げが伸び悩んだため、政府や地方自治体の収益減少を食い止めるのが課題となっていました。
そのための手段として、FXに規制をかけて公営ギャンブルに資金をシフトさせ、活性化させる目的があったようです。
レバレッジ10倍の規制を断念した3つの理由
規制が見送られた理由
- FX会社からの税収減の回避
- 仮想通貨や海外FXへの流出の懸念
- 公営ギャンブルの収益回復
理由1:FX会社からの税収減の回避
1つ目の理由は、FX会社からの税収入の減少を回避できたことです。
近年のFX市場は「ゴルディロックス相場」と呼ばれており、安定的でボラティリティが低い状態にあるといわれています。
そんな中レバレッジ規制を強化すると、FX会社の利益が減り、結果的に国の税収を減らしてしまいます。そのような状況は得策でないと国が判断したといえます。
理由2:仮想通貨や海外FXへの流出の懸念
2つ目の理由は、トレーダーが仮想通貨や海外FX会社へ流出することへの懸念です。
FXのレバレッジ規制を厳しくすると、仮想通貨などの新たな金融商品よりレバレッジが低くなったり、レバレッジ規制のない海外FXと比べてFX業界が衰退する可能性があります。
その結果、海外へ国内の資金が流出してしまう懸念があることが規制断念の理由のひとつだといえます。
理由3:公営ギャンブルの収益回復
3つ目の理由は、公営ギャンブルの収益が回復したことです。
地方自治体や政府の懸念のひとつであった公営ギャンブルの売り上げの伸び悩みが急速に回復したため、FXに強い規制をかける必要がなくなりました。
日本の経済政策のひとつである、カジノや公営ギャンブルの促進が背景にあったといえます。
レバレッジ規制の代わりの規制
FXのレバレッジ規制を25倍で据え置く代わりに、次のような規制が設けられました。
それは、FX会社のストレステストの厳格化と、自己資本規制比率の徹底の2つです。
これにより、FX会社の決済リスクの管理・抑制が可能になると判断されて、レバレッジ規制の代わりとされました。
トレーダーに直接影響を及ぼすことなく、FX会社の監視を強化することで規制の強化を図ったのです。
今後のレバレッジ規制が再燃する2つの可能性
レバレッジ規制が再熱する可能性
- FX会社倒産による国の賠償が発生
- 公営ギャンブルの収益の落ち込み
可能性1:FX会社倒産による国の賠償が発生
1つ目の可能性は、FX会社が倒産することで国に賠償責任が発生することです。
規制が強化されないままFX会社の倒産が相次ぐと、信託保全されているトレーダーの資産を国が賠償する負担が大きくなります。
国も税収の確保や財政難に苦しんでいるため、そのような事態が深刻化すると、再びレバレッジの規制を強化する話が持ち上がるかもしれません。
可能性2:公営ギャンブルの収益の落ち込み
2つ目の可能性は、公営ギャンブルの収益の落ち込みです。
公営ギャンブルは国の重要な収益源のひとつなので、その収益が落ち込んでいくと、他のギャンブルの選択肢を減らすために、レバレッジ規制の見直しが起きる可能性があります。
国の既得権益である公営ギャンブルを守るために、民間投資であるレバレッジに対する規制を強化することは十分に予想できます。
【FXレバレッジの規制】まとめ
上記で紹介した「FXのレバレッジ規制の変遷」を理解すると、今後はレバレッジ規制の理由が知りたいと悩むことは一切なくなり、将来的にレバレッジ規制が強化されるかどうか判断できます。
最後にもう一度、内容を確認しましょう。
この記事のまとめ
- レバレッジの規制は、100倍から50倍、25倍へと強化されていて、現在は25倍を維持していること
- 2018年4月に10倍までレバレッジ規制が強化されそうになったものの、FX会社に対する監視を強めることでレバレッジ強化は見送られたこと
- 将来的には、FX会社の倒産が相次いで国の賠償負担が増えたり、公営ギャンブルの収益が落ち込んだ場合、レバレッジ規制が強化される可能性があること
「レバレッジが強化されたらどうしよう」と気になる人は、金融庁の今後の動向に注意しましょう。