確定申告は1年間のトレードである一定の利益を得た人だけがやるべきものだと思っていませんか?
いえいえ、それは違います!
FXトレードにおける年間の収支が損失の人だって、確定申告はしたほうがいいに決まっています。
なんとFXといった投資に関して出た損失は、「繰越控除制度」というものがあって、この制度を使うことで1年間のFXトレードで得た損失を次の年に繰越することができるのです!
あまり税金に詳しくない人がこの話を聞いても、
FX確定申告のポイント:利益は雑所得で申告しよう!
確定申告で申告すべき利益の種類には10種類あり、それぞれの利益を得る方法によって課税される率が異なります。
いきなり「繰越控除制度」とは~から説明を始めても、ただでさえ難しくてめんどくさい税金システムのことですから、理解するにはなかなか難しいです。(難しいのは当たり前です。だから税理士という専門家が存在します)
ですので手始めにFXの税金の仕組みについて、簡単に説明します。
例えばサラリーマンのような会社からもらう報酬は給料となり、給与所得となりますね。
FXで得た利益の扱いは「雑所得」に分類され、申告分離課税という申告方法で所得に対し、一律20.315%の税金が課せられることになります。
所得の注意点!経費を加味しよう
ちなみに所得とは利益のことではありません。
所得=(利益-経費)のことをいい、この所得が20万円を超える人は確定申告をしなければならないという義務が生じます。
つまり所得が20万円以下であれば確定申告をする義務はない、しなくても良いということになります。
しかし大きな利益が出て、利益から経費を差し引いた金額が20万円を超えてしまった場合、確定申告して納税しなければなりませんが、その際の納税額は、所得(利益-経費)に20.315%を掛けたものとなります。
利益から経費を沢山引くことができたなら、納税額ももちろん減るわけですね。
これから説明する繰越控除制度を使えば、前年の損失分を今年の利益分から引くことができる経費(正確には控除ですが、ここでは分かりやすく経費としておきます)としてプールしておけるというシステムなんです!
経費に関する詳しい内容は以下をご覧ください
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【2020年最新】知っ得!FX確定申告でOKな経費8個と注意点5つ
FXで確定申告する時に経費できるもの一覧。FXにかかった費用の中で、確定申告をするときに経費として計上できるものがあります。経費として収益から差し引けば、所得税や住民税、復興特別所得税の支払いを減らすことができますよ!さらに損失の繰り延べもできるので確定申告をしましょう。続きを見る
FXの確定申告は繰越控除制度を使うとこうなる
通常FXの所得に対し課税される仕組みは、簡単に説明すると以下になり、今年の所得のうち前年の損失相当分は税金がかからないため、納税額で恩恵を得ることができます。
見出し
- 1年間の所得(20万円以上)×20.315%=納めるべき税金
ですが、前年損失の繰越をしておくと
- 1年間の所得-前年の損失×20.315%=納めるべき税金
しかもこの繰越控除制度は3年間まで繰越できるので、例えば前年の損失が50万だったとして翌年の利益が20万だった場合、前年の損失から今年の利益を差し引いた残り30万が翌年に繰越できます。
この例えでは損失を出した年は税金を払う必要なし、翌年も利益は出ているが税金を支払う必要なし(損失で利益全額を補てん出来ているから)、その次の年も控除額がまだ30万円残っているので、利益がでても納税額を減らすことができますね。
損失分を確定申告しなかった場合、損失を出した年は税金を払わなくても良いですが、翌年利益がでてしまうと利益のうち約20%は税金で持っていかれてしまうので、とってももったいないです。
確定申告と聞くと面倒なイメージが強いですが、使える節税対策は取りこぼしなくやっていきましょう。
FXの確定申告で期待できる「節税効果」
期待できる節税効果
- 所得税の減税
- 住民税の減税
- 認可保育園料の減額
- 私立幼稚園の補助金が増える(かも)
「繰越控除制度」を使えば所得税の納税額を抑えるだけではなく、住民税の金額を減らすことも出来ます。
繰越控除制度を使っていない場合、例え前年に損失があったとしても今年利益が出ていれば、FXで得た利益×15.315%の税金分が所得税(うち0.315%は復興特別所得税)の納税金額となり、さらにFXで得た利益に対して5%の住民税が課せられることになります。
しかし繰越控除制度で課税される額面(税務上では所得金額と呼びます)を減らすことによって約15%課せられる所得税だけではなく、5%の住民税の金額も減らせます。
さらに子供を養育している場合は保育園料の金額、幼稚園の補助金などにも大きく影響してくるので、その節税効果のほどは馬鹿にできない金額となるでしょう。
前々年のFX損失を確定申告し忘れてしまったとき
FXの損失が生じた年度の期限後、もしくは修正申告を行い、その後年度順に確定申告もしくは修正申告を行います。
この記事を読んでくださっている方で、過去の損失に心当たりある方はいらっしゃいますか?
「しまった!!過去に大きな損失を出したことがあるけど、確定申告してなかったよー!」と頭を抱えるのはまだ早いです。
その上で平成30年分の確定申告を行えば、損失の繰り越し控除を使用することが可能と思われますので、税理士もしくは最寄の税務署に一度相談してみてください。
FX損益を確定申告の方法!繰越控除の適用を3年間受けれる
たとえば前年の損失50万円を確定申告したとします。そして次の年は30万円の利益がでた。
前年の損失と通算すると利益は0円だから、「よし、今年は納税の義務はない!」
と思って安心しないでくださいね。
納税の義務がないからといって、確定申告の義務がないということではありません。
FXの利益そのものが0円ではなく繰越控除を使った上での利益が0円なので、確定申告をして税務署に繰越控除を使って利益を0円にしましたよと、報告しなければいけません。
面倒な作業かもしれませんが、繰越控除が適用される3年間はきちんと確定申告するようにしましょう。
確定申告を忘れてしまったら
もしも申告を忘れてしまったら繰越控除適用はなくなってしまいますので、忘れないように気をつけてください。
FXトレーダーが確定申告を怠り、追徴課税で大金を請求されたなどのニュースが絶えません。
税務署はFXトレーダーに対しては特に厳しく、証券会社と連携して脱税者はいないか常に目を光らせています。
FXで得た利益を黙っておいて納税しないことは脱税ですが、正規のルートで控除を正しく使い、納税額を限界まで減らすのは節税という納税者が行える正当な手段です。
ばれないだろうからと確定申告の手間を惜しむと、脱税だと税務署に指摘されますので、後々のことを考えて正しい申告を行うようにしましょう。
とりあえず正しく申告しておけば、税務署に目をつけられることもないですからね。
更生の請求が通った時の注意点
過去に出したFX損失が税務署に認められたときは、認められた年以降遡りで確定申告をする必要があります。
例えば5年前に出したFX損失100万円が税務署に認められた場合、4年前、3年前、2年前の確定申告もする必要があるということです。
5年前にだした赤字を、通年通り越して5年後に得たFX利益と相殺するような行為はできないので、注意しましょう。
どちらにしろ5年以内に赤字があり現在もFXを続けているのであれば、更生の請求はしておくほうがいいと私は思います。
なぜなら税務署の取り締まりも厳しくなっているからです。
修正申告の変更点
2016年までは税務署から税務調査の連絡が入った後、税務調査前にバタバタと修正申告を提出すれば加算税を取られることはありませんでした。(通常納める納税分+延滞税だけでよしとされるケースが多かった)
しかし今年からは税務調査連絡後に提出された修正申告については、加算税を取るというスタイルに変わってきています。
加算税には重さの程度により課税される税率が数種類あるのですが、一番重いもので(悪質と思われるもの)40%の加算税、一番軽いものでも10%の加算税がかかります。
どのクラスの税率にカテゴライズされるかは取引ごとのケースにより異なりますので、FXの利益に心当たりのある方は、税務調査の連絡が来る前に速やかに修正申告しておきましょう!
FXの確定申告まとめ
税務署は決して甘くない、個人にも容赦ない…むしろ個人で稼いでいるFXトレーダーには厳しいと思っておいた方がよいでしょうね。
「かあちゃんと税務署は怒らすべからず」
今回はこの言葉を、私から全FXトレーダーに贈りたいと思います。